暖かくなり外に出る機会が増えるこの季節。
膝が痛くなり、長時間の外出に不安を覚える方は少なくありません。
年齢を重ねるとともに出やすくなる膝の傷みについて、主な原因・意外な原因のほか、基本的な対処法・簡単なストレッチを解説します。
膝が痛くなる原因は?
昔は冬だけ痛くなっていたんだけど、最近は毎日痛むのよ
膝の傷みにはさまざまな理由があるワン!
- 体重増加
- 50歳以上になる
- 高齢者の負担の蓄積
- 膝のお皿がずれる
- 痛風
理由①体重増加
よくある膝の痛みの理由として挙げられるのが、体重増加です。
膝の曲げ伸ばし・着地に痛みを感じるほか、腫れや熱を感じるならば、鵞足炎(がそくえん)が疑われます。
膝は歩行時や起立時に体重を支える役目を持っていますが、当然のことながら体重が増えれば負担も大きくなります。
若い頃はフットサルやジム通いなどで体を動かす習慣があった方でも、年齢を重ねるとともに運動習慣が失われ、体重が増えることがあります。
これにくわえて、仕事・家族問題などで大きなストレスがかかり、食べすぎ・飲みすぎにより急激に体重が増えてしまうこともあるでしょう。
体重の増加は膝に大きな負担となるだけでなく、内臓や血液の疾患を引き起こす原因になります。
理由②50歳以上になる
50歳以上の女性に多く見られるのが、歩き始めや立ち上がりの際に痛みを感じる、変形性膝関節症です。
変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減り炎症が発生することで症状が起こります。
注意したいのは、進行するタイプの疾患であることです。
変形性膝関節症を放置してしまうと、骨が傷ついたり関節が変形してしまったりすることが考えられ、結果として歩行が困難になることがあります。
理由③加齢による負担の蓄積
高齢者にとくに多いのが、歩行時の傷みや膝の曲げ伸ばしで引っかかる感じがする、内側半月板損傷です。
半月板は膝の衝撃を吸収してくれるクッションですが、高齢になり負担が蓄積された状態になると、半月板が損傷してしまい傷みが出ることがあります。
膝に水が溜まる・膝が急に動かなくなるといった症状も、この内側半月板損傷によくあるものです。
理由④膝のお皿がずれる
肥満傾向にある女性に多い膝の傷みの理由が、膝のお皿のずれです。
加齢とともに体重が増加し筋力が低下してしまうと、お皿がずれる膝蓋大腿関節症を起こしやすくなります。
とくに、階段や坂道をよく使う方は、膝のお皿が不安定になり痛みを引き起こしやすい特徴があります。
理由⑤痛風
突然膝に激しい痛みを感じるならば、その理由は痛風かもしれません。
痛風由来の膝の傷みの特徴は、突然の痛み・赤い腫れなどです。
痛風になると、尿酸が関節で結晶化して炎症となり、膝の痛みにつながります。
健康診断などで尿酸値の高さを指摘されているならば、医療機関に相談すると良いでしょう。
痛みの種類ごとの基本的な対処用
病院にいったほうが良いとは思うんだけど、自分で何とかならないかしら
軽い痛みならば応急処置ができるワン!でも、痛みが続く・痛みが激しい場合は、病院で診てもらうことが大切ワン!
- 急な痛み→冷やす
- 慢性的な痛み→温める・靴を交換する
- 腫れを感じる→湿布
- 膝が不安定→サポーター
- 膝の疲労→テーピング
急な痛み
スポーツの後などに発生する急な痛みは、冷やすことが基本的な処置です。
膝の内部の炎症を抑えるには、表面だけを軽く冷やすのではなく、アイシングなどで十分に炎症を抑えることがポイントです。
冷たく感じる湿布も効果がないとはいえませんが、急な痛みに対する処置としては不十分でしょう。
まずは、しっかり冷やしてから、症状に応じて湿布を使用しましょう。
慢性的な痛み
膝の痛みが日常的に発生している場合、冷やすのではなく温めることが基本的な処置です。
慢性的な膝の痛みは血行不良を引き起こしていることが多いため、血行を良くするために温めるのがポイントです。
アロマオイルやバスソルトを入れた足湯でリラックスするのも、おすすめの対処法となります。
また、長く歩くと膝が痛くなりやすい方であれば、クッション性の高い靴に交換するのがおすすめです。
アシックスのKNEESUPは、ひざに悩みを抱えている人が安心して歩けるシューズです。
膝の角度を補正してくれる効果が期待でき、関節の負担・着地の衝撃をやわらげてくれます。
このほかに、Onのクラウドシリーズ、HOKAのホンダイなど、クッション性の高い靴を試着してみるのがおすすめです。
膝が不安定
歩行時に膝が安定しないと感じているならば、サポーターの使用がおすすめの処置です。
サポーターを使用すると、温められて血行が促進される効果も期待できます。
どのようなサポーターを選べば良いか迷う場合は、まず100円均一ショップでいくつか種類を試してみるのがおすすめです。
100円均一ショップでは、厚みのあるもの・薄手のもの・遠赤外線効果があるものなどが売られています。
サポーターを購入する場合は、膝まわりのものだけでなく、足首・ふくらはぎのものも合わせて買うのがおすすめです。
膝から足首全体がやさしく包まれている感じがあり、歩行に安定性が生まれることが期待できます。
外出時の暑さや見た目が気になるならば、膝まわりを薄く覆うタイプのサポーターを選ぶと良いでしょう。
よりがっちりとしたホールド感を求める場合は、ドラッグストアで1,000~3,000ほどの商品を選んでみてください。
膝が不安定で疲労感がある
膝が不安定であるとともに疲労感がある場合、テーピングの使用が基本的な処置となります。
テーピングはさまざまな商品が出ていますが、基本的には伸縮性がある幅広のタイプがおすすめです。
100円均一ショップにもテーピングが売られていますが、伸縮性がなく量も十分ではないことがほとんどです。
テーピングを選ぶ場合、疲労回復効果が期待できるキネシオテープがおすすめできます。
膝のお皿を中心にテープを貼り関節の動きをサポートしますが、YouTubeなどで貼り方を見てみると良いでしょう。
膝の痛みの意外な原因は?
最近は、車に乗ると、膝の裏側が痛くなっちゃうの
シートの高さが原因かもしれないワン!
- 車のシートが合わない
- 外出の機会が減った
- 同じ姿勢でいることが多い
- 血糖値が上がった
- 右半身・左半身だけ不調になりやすい
意外な原因①車のシートが合わない
運転時に膝の裏に痛みを感じるならば、シートの形状が原因かもしれません。
最近の自動車のシートは、人間工学に基づいた設計がされていることがあります。
楽にアクセルとブレーキを踏めるように、お尻が沈み込んだ形状のシートは要注意です。
体格が合う方ならば問題ありませんが、小柄な女性だと膝の裏にシートが当たり、膝の痛みを引き起こすことがあります。
車は簡単に買い替えられませんので、購入前に試乗をして乗り心地をたしかめることが大切です。
購入後にシートの形状が自分と合わないと感じたら、ドライビングポジションの調整をしてみましょう。
シートを一番後ろまでスライドさせ、足首が90度ほどでアクセルペダルに乗る場所が、自分に合ったポジションです。
さらに、シートの高さは、膝の痛みと関係のある重要なポジションとなります。
運転して楽だと感じる場所まで、下げることがポイントです。
今までより視線が低くなることがほとんどですが、運転の際に視界が遮られないかぎりは問題ありません。
膝の裏が痛いならば、基本的には、今までの自分のベストポジションより2~3段階ほど下げた場所が、膝の痛みが抑えられるポジションです。
意外な原因②外出の機会が減った
年齢とともに外出が面倒になったり、定年によって通勤の必要がなくなったりすると、膝の痛みが出ることがあります。
外出の機会の減少によって膝の痛みが出やすいのは、運動量が減り筋肉が衰えるためです。
また、真夏・真冬に外出を控える場合も、運動量が減り膝の痛みが出ることがあります。
こうした運動量の低下が原因の膝の痛みは、毎日少しずつ運動をすることが解決策です。
毎日30分ほど近所をウォーキングするほか、歯磨きの時間にかかとを上げ下げする運動を取り入れるのがおすすめです。
真夏や真冬に外出したくないならば、室内で体操やヨガなどをおこなっても良いでしょう。
適切な運動量は、年齢や性別、これまでの運動歴によって異なります。
無理のない範囲で、足を鍛えられる運動を取り入れてみましょう。
意外な原因③同じ姿勢でいることが多い
集中して仕事をしたり読書をしたりしていると、同じ姿勢を取り続けることがあります。
正座・あぐらなど、膝に負担のかかる姿勢で長時間過ごしていると、膝に負担がかかり痛みが出やすくなります。
正座やあぐらを避けて、自分に合った高さの椅子に座ることが、基本的な解決策です。
もちろん、血流をうながすために、長時間同じ姿勢ではなく適度に歩くことも大切です。
意外な原因④血糖値が上がった
年齢を重ねると、健康診断の血糖値に異常が見られることが多くなります。
とくに、甘いものがお好きな方や白米・パン・パスタといった炭水化物がお好きな方の場合は、高血糖に注意が必要です。
血糖値が上がると血管に障害が起きやすくなりますが、膝の痛みにもつながることがあります。
糖質を取り過ぎると血流が悪くなり、膝などに炎症が起こることが考えられます。
食生活の乱れがある方は、少しずつ糖分・炭水化物を減らし、血糖値の改善を目指しましょう。
もちろん、糖尿病と診断されるほど血糖値が高い場合には、服薬や医師の指導を受けながら、改善を目指すことが大切です。
意外な原因⑤右半身・左半身だけ不調になりやすい
血の巡りが悪い場合、身体の左右片側だけ不調になりやすくなります。
右側だけ膝が痛む・右側だけつま先が冷たい・右側だけ肩こりが酷いなど、身体の片側だけ不調の場合には、血行を良くすることが解決策です。
体操やストレッチで体をほぐすほか、歩き方を見直して、身体のゆがみをなくすこともおすすめです。
歩き方を見直して膝の痛みを軽くする方法
歩き方なんて普段意識しないけど、関係あるのかしら
靴の減り方が左右違う場合は要注意!右足と左足で同じ動作で歩けているかチェックだワン!
身体の左右でゆがみがある場合、歩く際に痛いほうの足で正しい歩き方ができていないことがあります。
靴の内側が減っている方は、内側に体重がかかる「内側重心」です。
とくに、足の親指に力が入りやすいと、この内側重心になるといわれています。
内側重心となると、土踏まずがクッションの役割をはたせず、膝関節・股関節・すねなどに大きな負担がかかりやすくなります。
- 痛くないほうの足と同じ動作ができるか
- かかとから着地しているか
- かかとからつま先へ正しく体重移動ができているか
- 右足から左足、左足から右足へ、体重移動のタイミングは同じか
軽いストレッチで膝の痛みを軽くする方法
運動は苦手なのよ
寝転んでできる簡単なストレッチだワン!
膝の痛みを和らげるには、柔らかい布団の上でおこなう、足首から股関節まで全体のストレッチが有効です。
膝のお皿に問題がある場合は、お皿近辺をもみほぐすことがあります。
- 天井を見て仰向けに寝転ぶ
- 膝を抱え込んでから前に伸ばす動作を繰り返す
- 膝を90度ほど曲げたまま左右にゆっくり倒す
- 股関節を動かすように、太ももから足全体で円を描くように回す
- 足首を持って円を描くように回す
- うつ伏せになり膝を曲げ伸ばしする
- うつ伏せで膝を延ばしたままつま先で床を押し上げる動作をする
- 痛みや違和感がなければ、そのまま膝を左右に軽くひねる
まとめ
膝の痛みには、加齢・負担の蓄積など、さまざまな理由があります。
また、車のシートが合わなかったり血糖値が上がったりすると、膝の痛みが出やすくなります。
正しい歩き方の意識・無理のないストレッチなどで、膝の痛みを和らげてみてください。