毎年、春先や初冬など、季節の変わり目になると体調を崩す方が多くいらっしゃいます。
こうした症状のなかには、寒暖差疲労・気象病といわれるものが含まれているのをご存じでしょうか。
そこで今回は、寒暖差疲労とはどのようなものなのか、基本的な対策と高齢者に対する注意点を解説します。
寒暖差疲労ってどんなもの?

毎年、季節の変わり目になると、足がだるくなったり頭がぼんやりしたりしちゃうの

その体調不良、寒暖差疲労かもしれないワン!
寒暖差疲労とは
寒暖差疲労とは、温度変化の大きな季節に発生する、体調不良のことです。
具体的な症状としては、疲労感・倦怠感・頭痛・冷え・首と肩のこりなどが挙げられます。
天気変化を原因とする体調悪化には、気圧の乱高下による気象病がありますが、気温の乱高下による寒暖差疲労も気象病の1つです。
- 頭痛
- だるさ
- 不眠
- 食欲不振
- 冷え
- 便秘・下痢
- 不眠・眠りが浅い
寒暖差疲労が発生しやすい状況
寒暖差疲労による体調悪化が出やすいのは、気温差が7℃以上ある場合だとされています。
この気温差とは、1日の最低気温と最高気温の差だけでなく、前の日との気温差・室内外の温度差なども含まれることがポイントです。
家のなかにいても気温差が大きいと寒暖差疲労が発生しやすいほか、週単位で気温差が大きくなると、身体に大きな負担がかかることがあります。
また、冷暖房の利いた家・電車と屋外との温度差など、エアコンの有無による温度差も寒暖差疲労発生の原因になります。
このほかに、寒暖差疲労を発生しやすい方の特徴として、高齢者・女性が挙げられます。
寒暖差疲労のメカニズム
急激な温度変化にさらされると、人間の身体は体温調節のために自律神経を酷使することになります。
自律神経は、身体の表面が触れる外気温に合わせ、体温を一定に保つ能力をつかさどる部分です。
寒暖差疲労が発生するほどの気温の乱高下が起きた場合、自律神経の活動が過度に活発になり、莫大なエネルギーの消費の末に身体に疲労が溜まってしまいます。
梅雨時の不調も寒暖差疲労?
梅雨時になると、夏日から一気に気温が低下するなど、大きな気温差が発生します。
こうした梅雨時の不調も寒暖差疲労といえますが、梅雨時の不調は温度差のほかに気圧・湿度が大きく関連することがポイントです。
梅雨前線が日本列島に近付いて来ると、一気に気圧が低下するとともに湿度が上がります。
寒暖差疲労だけでは説明がつかない体調不良も多く、梅雨時の不調は気象病と呼ばれることがほとんどです。
梅雨時に多い気象病の症状として、片頭痛・腰痛・関節痛などの慢性痛の悪化が挙げられます。
また、イライラする・うつ状態になるなど、精神的に不安定になりやすいのものこの季節です。
さらに、梅雨時には晴れの日が少なく、体内時計が乱れやすくなります。
梅雨時ならではのさまざまな要素が絡み合い、気象病に悩まされやすくなることに注意しましょう。
- 頭痛
- 疲労
- 関節痛
- めまい
- 吐き気
- 眠気
- むくみ
- 不安感
寒暖差疲労・気象病の基本的な対策

足がだるいからあんまり動けなくて、寝てばかりになっちゃう

ちょっとの工夫で、毎日を過ごしやすくするワン!
- 寒い梅雨時には身体を冷やさない
- 適度な運動を心がける
- 深呼吸
- 冷たい飲み物より温かい飲み物をとる
- コーヒーを飲む
- ゆっくりと入浴する
- マッサージ
対策①寒い梅雨時には身体を冷やさない
梅雨時に多い気象病の対策として挙げられるのが、身体を冷やさずに温めることです。
もちろん、梅雨時には蒸し暑いことがありますので、適度に身体を冷やして熱中症を予防することが重要です。
ただし、過度に身体を冷やしてしまうと、身体機能の低下を招くことに注意しましょう。
身体の冷やしすぎは、血流の悪化・検査で異常がなく不快感を訴える不定愁訴など、さまざまな体調不良の原因になります。
対策②適度な運動を心がける
寒暖差疲労・気象病でだるさを感じる場合は、無理のない範囲で身体を動かすことが対策になります。
どのくらいの運動が良いかというと、近所への散歩・軽く汗をかくほどのスポーツなどです。
軽いジョギングのほか、速足で歩くなど、それぞれに体力に応じた運動を考えてみましょう。
対策③深呼吸
いつでもどこでもできる対策が、深呼吸です。
深呼吸には、緊張を抑制する効果が期待できます。
ゆっくりと深い深呼吸をすると、副交感神経が優位になり、自律神経の乱れを整えられるとされています。
深呼吸のポイントは、息を5秒吸ったら、息を吐き出す時間10秒と、2倍にすることです。
対策④冷たい飲み物より温かい飲み物をとる
梅雨時や春先などの体調不良だと、冷たい飲み物をほしくなるかもしれません。
身体を内側から冷やしたい暑い環境を除いて、冷たい飲み物を取りすぎないよう注意しましょう。
とくに、冷房の効いた室内にいるならば、冷たい飲み物よりも温かい飲み物を少しずつ摂取するのがおすすめです。
対策⑤コーヒーを飲む
温かい飲み物は臓器を温め、自律神経を整える効果が期待できます。
さらに、カフェインが含まれたコーヒーなどの飲み物は、片頭痛を抑える働きがあるとされています。
片頭痛は血管拡張に1つの原因があるといわれていますが、血管を収縮する働きをもつカフェインはこの片頭痛に効果的と考えられます。
カフェイン以外には、マグネシウム・鉄分などを積極的に摂取するのがおすすめです。
- 緑茶
- ほうじ茶
- 抹茶
- ウーロン茶
- ハイカカオチョコレート
- ごま
- ココア
- 青のり
- 青汁
- レバー
- ココア
- 抹茶
- しじみ
- 青のり
対策⑥ゆっくりと入浴する
ゆっくりと入浴すると、副交感神経の働きが活発になり、自律神経が整います。
入浴時には、首まで湯につかり、全身を温めるようにしましょう。
暑くなるとバスタブに入らずシャワーのみで済ませる方は、ぬるめのお湯につかるようにしてみてください。
また、入浴剤を活用するのも、おすすめの入浴方法です。
具体的には、炭酸風呂・バスソルトなどが、寒暖差疲労・気象病に有効とされています。
炭酸風呂に含まれる炭酸ガスは、血管を広げ血流を良くする効果が期待できます。
エプソムソルトなどのバスソルトには自律神経の不調に良いとされるマグネシウムが豊富に含まれていて、筋肉の緊張をほぐしてくれます。
入浴前には、常温の水または白湯を飲み、水分補給を心がけましょう。
- 温熱作用:毛細血管が広がり血流が良くなる。疲労物質・老廃物が除去される・自律神経が整う。
- 水圧作用:身体に静水圧がかかり、血流・リンパの流れが良くなる。むくみが改善する。
- 浮力作用:体重が1/9になり身体を支える緊張から解放される。
対策⑦マッサージ
気圧の変化によるめまいなどに有効なのが、耳のマッサージです。
耳の外側を手でつかみくるくる回すようにすると、内耳の気圧センサーへの血流を改善させる効果が期待できます。
また、ふくらはぎ・足の裏・頭皮などを軽くマッサージするのもおすすめです。
高齢者が寒暖差疲労・気象病で気をつけることは?

もう歳だから、適度な運動ができそうにないんだけど…

無理をしないこと、ストレスを溜めないことが大切ワン!
注意点①心配しすぎない
普段は元気な方の場合、寒暖差疲労・気象病の体調不良が長引くと、心配になってしまうかもしれません。
しかし、過度に心配してしまうと、ストレスが溜まり自律神経の乱れが加速するリスクがあります。
ストレスが大きくなると交感神経の働きが優位になり、血管の収縮・血流の低下を招きます。
ストレス状態が長引くと、血流悪化が加速し、頭痛・肩こり・冷えなどの身体症状があらわれることがあります。
気温・気圧が落ち着いてくれば寒暖差疲労・気象病の症状はやわらぎますので、心配しすぎず無理のない範囲で対策をとってみてください。
注意点②強くマッサージしない
年齢を重ねた女性に多いのが、骨粗しょう症です。
骨粗しょう症と診断された方はもちろん、骨折したことがある方など、高齢者全般への注意点となるのが、強くマッサージしないことです。
自分でマッサージするならば、手のひらでやさしくさする・回す程度にし、力の調整が難しいマッサージ器は避けたほうが良いでしょう。
また、街中にあるマッサージ店は、骨粗しょう症の方の利用を制限していることがほとんどです。
マッサージを受けたいならば、医療の一環としておこなっているところを探すと良いでしょう。
国家資格をもつあんまマッサージ指圧師のいる施設などであれば、医師の同意など条件を満たすと健康保険が適用されることがあります。
注意点③バランスの良い食事を心がける
年齢とともに食が細くなってきた方の場合、寒暖差疲労・気象病によりさらに食欲が落ちてしまうことがあります。
栄養不足になると体力の低下などさらなる問題を引き起こすリスクがありますので、できる限りバランスの取れた食事を心がけましょう。
食欲はあるものの買い物にいく元気がないならば、ネットスーパーでお惣菜を購入したり出前を活用したりするのがおすすめです。
自分で料理しなければいけないという固定概念は捨てて、お弁当を買ってきてもらうのも良いでしょう。
お弁当を選ぶ場合は、たんぱく質・ビタミンBに着目します。
豚肉・魚・大豆のほか、ホウレンソウ・海苔などがおすすめの食材です。
甘い飲み物は取りすぎず、プロテインドリンクなどを上手に活用してみてください。
注意点④お風呂は熱くしすぎない
高温の湯に長時間つかると、ヒートショックが起きやすいとされています。
ヒートショックとは、急激な温度差で身体がダメージを受けることを指し、血圧の乱高下・心臓への負担増加により、脳卒中・心筋梗塞がおきやすくなるものです。
脱衣場と浴室との温度差が大きいとヒートショックが起きやすいため、脱衣所を温めることが対策になります。
また、つかる湯の温度は41℃以下・つかる時間は10分以内が目安です。
42℃で10分入浴した場合、体温が38℃になり意識障害を引き起こすケースが報告されています。
だるいふくらはぎなどをリフレッシュしたい場合は、バスソルトを入れた足湯がおすすめです。
バスタブの温度は38℃ほどにして、熱めの足湯またはシャワーでふくらはぎをケアしてみましょう。
まとめ
寒暖差疲労とは、温度変化の大きな季節に見られる頭痛・だるさ・不眠などの体調不良です。
こうした温度・気圧による体調不良の対策としては、身体を冷やしすぎない・深呼吸・炭酸風呂などがあります。
高齢者については、心配しすぎないこと・強くマッサージしないこと・お風呂は熱くしすぎないことなどが、注意点です。