安心して老後の生活を送るためには、バリアフリーや設備入れ替えなどのリフォームが必要になります。
どのような設備を取り入れるかについては、自分と家族に合ったものを選ぶことが大切です。
そこで今回は、老後の家に欲しい設備とともに、あると便利なアイテムをご紹介します。
玄関に欲しい設備
玄関の大きな段差が気になるわ
予算に合わせて段差を解消できるワン!
- 段差解消スロープ
- 引き戸の扉
- 手すり
- センサーライト
段差解消スロープ
一戸建ての場合、外から戻って玄関の扉を開けるまでに、数段のステップがもうけられていることがあります。
後期高齢者になると、数段のステップの昇り降りが困難になることが考えられるため、段差を解消する工夫が必要です。
さらに、玄関の扉を入って室内に上がるために、上がりかまちがありますが、この段差は大きいため高齢になると昇りにくくなります。
まず、ゆるやかなスロープを設置して、段差をなくすリフォームが、玄関でおすすめの工事です。
歩きやすい角度と身体を支える手すりがあれば、高齢でも玄関までのアプローチが楽になります。
また、リフォームではなく手軽に段差を解消したい場合には、踏み台やスロープを自分で購入すると良いでしょう。
ただし、コンパクトなスロープは傾斜がきつい場合がありますので、高齢でも昇りやすいか確かめることが大切です。
引き戸の扉
手前に引いたり奥に押したりするタイプの扉は、出入りの際に押さえる力が必要になることから、高齢者にとって使いにくいと感じられます。
玄関の扉が押すタイプのものの場合であれば、引き戸に交換するのがおすすめです。
引き戸は出入りの際に押さえる必要がないことから、荷物を持っていたり体が不自由だったりしても、比較的ストレスを感じずに利用できます。
手すり
玄関で靴を履いたり脱いだりする場合、上りかまちに腰かけるのが一般的です。
若いうちは難なく立ち上がれたとしても、高齢になると膝の運動のみで立ち上がるのは困難になります。
したがって、玄関には、靴の着脱後に立ち上がるために、手すりを設置するのがおすすめです。
手すりを設置する際には、設置場所・握る部分の形などについて、自分と家族が使いやすいものを選びましょう。
人感センサーライト
玄関から廊下まわりでおすすめの設備が、足元を照らしてくれるライトです。
このライトは、自分でスイッチをオンオフするものではなく、人の気配を察知して自動的に点灯する人感センサーライトにすると良いでしょう。
人感センサーライトならば、暗いなかスイッチを手探りで探す危険がなく、夜間にトイレにいくときも安心です。
人感センサーライトを選ぶ場合、ほんのり明るいものではなく、しっかりと周りを照らしてくれる明るめのものを選ぶのがおすすめです。
椅子
玄関にあると便利なアイテムとして挙げられるのが、気軽に腰かけられる高さの椅子です。
外出先から戻り疲れている場合、靴を脱ぐ前に一息つける場所があると助かります。
上がりかまちに腰かけることもできますが、低い位置にあるため、足腰に負担がかかるでしょう。
玄関に置く椅子としておすすめできるのは、家具専門店などで購入できる玄関用のスツールです。
リビングに欲しい設備
日中の長い時間を過ごす場所だから、快適さにこだわりたいわ
ちょっとの工夫で生活がしやすくなるワン!
- 段差解消リフォーム
- 滑りにくい床
- 床暖房
- 見守りエアコン
- 手元スピーカー
- ホワイトボード
段差解消リフォーム
段差解消が必要な部分は、大きな段差がある玄関まわりだけではありません。
廊下からリビングルームへつながる敷居は、わずかな段差でも転倒のリスクがあります。
床と同じ高さの木材を埋め込むリフォームをおこなえば、室内で転倒するリスクを減らせます。
滑りにくい床
室内の段差とともに転倒しやすい場所が、フローリングなど滑りやすい床です。
靴下やスリッパでフローリングの上を歩くと、バランスを崩して転びやすくなります。
フローリングの上にタイルカーペットなどを敷いておけば、滑ることがないのはもちろんのこと、足腰への負担を減らせます。
タイルカーペットは、一般的なカーペットと違い、40センチほどの正方形で売られていることが特徴です。
小型のカーペットですので、必要な場所に必要なだけ設置できることがメリットです。
また、カラーバリエーションが豊富なタイルカーペットを選べば、気に入った色の組み合わせで室内の雰囲気を変えられます。
床暖房・見守りエアコン
高齢者が住むリビングでこだわりたいのが、冷暖房設備です。
一戸建てのなかには足元が冷えやすい構造のものがありますが、こうした家で冬場を快適に過ごすには、床暖房がおすすめです。
ただし、床暖房へのリフォームは、一定の予算が必要なことと、住宅の気密性を上げる工事が必要になることは注意点といえます。
寒さが気になる住宅で老後の生活を送るならば、床暖房へのリフォームを考えてみても良いでしょう。
また、高齢者のなかには、エアコンを使わずに熱中症・低体温症といった健康被害が出てしまう方がいらっしゃいます。
こうしたエアコンの不使用理由としては、電気代が気になることだけでなく、暑さや寒さを感じにくいことが挙げられます。
自分が暑さや寒さを感じにくい方はもちろんのこと、親や親戚がエアコンを使っているか心配な方であれば、見守りエアコンの設置がおすすめです。
見守りエアコンとは、Wi-Fiを導入したうえで、スマートフォンのアプリから稼働状況を確認したり遠方から操作したりできるエアコンです。
家電メーカーのなかには、室内にいる方の動作・脈拍・呼吸などを検知するセンサーを取り付けられる商品を出しているところがあります。
手元スピーカー
テレビ鑑賞がお好きな方であれば、手元スピーカーが便利なアイテムです。
年齢とともにテレビの音が聞こえにくくなりますが、手元スピーカーがあれば、テレビの音量を上げずに済みます。
手元スピーカーを選ぶ際には、聞き取りやすい音質を選べるか、ワイヤレスでキッチンなどに持ち運べるかなどにこだわるのがおすすめです。
ホワイトボード
年齢を重ねると、忘れ物が多くなることは、自然な流れです。
しかし、大切な通院や友人との約束などを忘れてしまうと、自己嫌悪におちいり、気分も沈んでしまうでしょう。
そこで忘れ物の不安を解消するために便利なアイテムとしておすすめできるのが、ホワイトボードです。
忘れたくない予定はホワイトボードに記載するほか、支払いのための振込用紙などをマグネットで貼っておけます。
キッチンに欲しい設備
高齢になっても自分で料理したいけど、不安なの
火を使わずに済むアイテムがおすすめワン!
- IHクッキングヒーター
- 使いやすい収納・コンセント
- 見守りポット
IHクッキングヒーター
高齢者の家でとくに注意したいのが、キッチンからの出火です。
ガスコンロで調理しているのを忘れてその場を離れてしまい、ぼやが発生することは珍しくありません。
火災報知器ですぐに気がつけば大事には至りませんが、火災報知器の電池が切れていたり外出してしまっていたりすると、大きな被害になることがあります。
こうした火災のリスクを減らすには、ガスコンロからIHクッキングヒーターへの変更がおすすめです。
IHクッキングヒーターは十分な火力がないと思われるかもしれませんが、ほとんどの機種で揚げ物などを問題なく調理できます。
ただし、IHクッキングヒーターは停電時に使えないことが、注意点です。
使いやすい収納・コンセント
高齢になる前に考えておきたいのが、キッチン全体のリフォームです。
IHクッキングヒーターなどを導入するだけでなく、高い場所の収納・使いにくい場所のコンセントを解消すると良いでしょう。
つま先立ちで取り出すような高い場所にある収納は、高齢になると物の落下や転倒といったリスクが考えられます。
かがまないと使えないような場所にあるコンセントは、抜き差しに負担がかかり、使いにくいと感じられるでしょう。
見守りポット
見守りエアコン同様に、高齢者の無事を知らせてくれるアイテムが、見守りポットです。
お茶を飲むときなどに毎日ポットを使う方であれば、毎日変わりなくポットを使っているかを遠方に住む家族が見守れます。
見守りポット以外に、同様の機能を持つものとして、ドアの開閉を検知する見守り冷蔵庫があります。
基本的には、こうした見守り家電には初期費用・月額使用料がかかります。
寝室に欲しい設備
病気や介護が必要になった場合に備えて、寝室も充実させたいわ
リフォームも含めて、色々な選択肢があるワン!
- 引き戸へのリフォーム
- トイレと寝室を近付けるリフォーム
- 緊急ブザー
- 湯たんぽ
- ラジオ
- 電動ベッド・エアマット
引き戸へのリフォーム
寝室や個室をリフォームする場合、玄関ドアと同様に、押し引きするドアではなく引き戸へ交換するのがおすすめです。
トイレにいくために寝室を出る場合、寝ぼけてドアに指を挟んだりドアを開けきれず転倒したりするリスクがあります。
高齢者が安全に暮らすためのリフォームでは、さまざまな場所で引き戸へ交換することがポイントです。
トイレと寝室を近付けるリフォーム
高齢者にとって理想的な寝室の条件として、トイレに近いことが挙げられます。
高齢者のなかには、夜中に複数回トイレにいくために目が覚める方がいらっしゃいますが、トイレとの往復が負担になる可能性があります。
楽にトイレにアクセスできるよう、寝室の近くにトイレを移動できないか、リフォーム会社に相談してみるのがおすすめです。
緊急ブザー
自治体によっては、条件を満たす方に対して、緊急通報ができるブザーを貸し出しているところがあります。
高齢者の家に設置された緊急通報のボタンを押すと、警備会社などに通報がいき、安否確認がおこなわれます。
ただし、ほとんどの自治体では、利用できる方について、65歳以上の一人暮らしなどの条件を設けていることは注意点です。
緊急通報ブザーだけでなく、トイレなどの扉にセンサーを設置し一定時間開閉がないと通報される安否確認センサーや、火災発生時に通報される火災センサーなど、自治体によって提供しているシステムはさまざまです。
湯たんぽ
高齢者のなかには、電気代を気にしてエアコンの使用を控える方がいらっしゃいます。
真夏であればエアコンを稼働させておくのが有効ですが、冬場であれば湯たんぽを活用するのがおすすめです。
真冬であればエアコンを使うのがおすすめですが、肌寒い季節には、湯たんぽがあれば眠りやすくなります。
ラジオ
なかなか寝付けない高齢者や、病気で横になっていることが多い高齢者には、ラジオがおすすめです。
ラジオは夜中でも穏やかな口調の番組があり、目を閉じた状態で聴けることにメリットがあります。
一人で不安な夜や療養中には、さまざまな話題を提供してくれるラジオが心強い味方になります。
スマートフォンをご利用ならばアプリをダウンロードするほか、家電量販店で好みのデザインのものを選んでも良いでしょう。
電動ベッド・エアマット
介護が必要になったタイミングで導入を検討したいのが、電動ベッド・エアマットです。
今まで床に敷いた布団で寝ていた方は、年齢とともに立ち上がることが困難になることがあります。
布団での生活が難しくなった場合、ベッドへの変更をおこなうのが一般的です。
普通のベッドでも暮らしやすさは向上しますが、将来的な介護を視野に入れるならば、リクライニングや高さ調整ができる電動ベッドがおすすめです。
また、横になっている時間が長い方については、褥瘡予防のエアマットの導入を考えてみてください。
長く横になっていると、床ずれとよばれる褥瘡ができやすくなります。
介護用エアーマットレスは、電源を入れると自動的に変形し、体の圧を分散してくれるアイテムです。
どちらも、レンタルで安価に準備できるほか、インターネットで中古品を探すのもおすすめです。
浴室・トイレに欲しい設備
小さな空間だけど、何ができるのかしら
リスクが隠れている空間だから、早めに対策するワン!
- エアコン・ヒーター
- 手すり
- 背もたれのある椅子
エアコン・ヒーター
近年、冬場におけるヒートショックの危険性が重視されるようになってきました。
ヒートショックとは、暖かいリビングから寒い浴室・トイレへ入ったときに起こりやすい事故です。
急激な温度差は血圧の乱高下につながり、脳内出血・心筋梗塞・脳梗塞といった命の危険のある病気を引き起こします。
とくに、10度以上の温度差がヒートショックを引き起こしやすいとされていますので、温度差を解消するための対策が必要です。
浴室全体をリフォームする場合、浴室専用のエアコンの導入を検討してみましょう。
リフォーム予定がないならば、小型のヒーターを脱衣所に設置するのがおすすめです。
トイレにも、火災の心配がない小型のヒーターを設置すると良いでしょう。
手すり
高齢になると、トイレ・浴室への手すりの設置が必要です。
用を足して立ち上がるタイミングでふらつきやすいほか、滑りやすい浴室にはつかまれる場所が必要になります。
トイレから楽に立ち上がれるように便器の左右に手すりを設置するほか、浴槽から立ち上がりやすい場所に手すりを設置しましょう。
背もたれのある椅子
浴室で椅子を使う場合、背もたれのあるものを選ぶのがおすすめです。
スツールタイプの簡単な椅子ではなく、介護用の滑りにくくしっかりした脚・座面・背もたれが付いたものを選ぶと良いでしょう。
浴室の洗い場にも手すりを設置し、椅子から立ち上がりやすくする工夫も必要です。
まとめ
自宅で快適な老後を過ごすには、さまざまな設備の導入を考える必要があります。
手すりやスロープは、リフォームで工事するほか、自分で簡易的に設置できます。
自分にどのような設備が必要かを考えて、予算に合わせたリフォーム・アイテム購入を考えてみてください。