高齢者が持ち家に住むメリットは?気になるデメリットも解説

住まいの選び方

持ち家か賃貸物件かは、年齢を問わず誰もが悩みを抱えやすい問題です。

とくに、収入が減る老後の生活を考える場合、持ち家と賃貸物件どちらが良いかわからなくなる方が多いでしょう。

そこで今回は、高齢者が持ち家に住むメリットとともに、気になるデメリットも解説します。

持ち家に住む高齢者はどのくらいいる?

みんなは持ち家と賃貸どちらに住んでるか気になるわ

最新の情報をみてみるワン!

高齢者の8割ほどが持ち家に住んでいる

総務省が発表した「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」によると、高齢者がいる世帯のうち81.6%が持ち家、18.2%が賃貸住まいであることがわかります。

また、高齢者のみの単身世帯では、67.5%が持ち家、32.2%が賃貸物件に住んでいるとの結果が出ました。

同調査では、高齢者同士またはどちらかが高齢者の夫婦の世帯についての調査もおこなわれていて、こちらは87.7%が持ち家、12.3%が賃貸物件との結果です。

(出典 https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf

老後の不安が大きいのは持ち家と賃貸物件どっち?

民間の調査によると、持ち家に住む方の79.2%が老後に不安を抱えているとの結果が出ています。

また、賃貸物件に住む方だと、老後の不安を抱えているのは85.8%です。

ただし、老後の不安は住まいのことだけでなく、あらゆる面についての不安です。

具体的には、自分の健康・老後の生活資金・介護についての不安が挙げられています。

また、老後資金の理想が2,000万円であるのに対し、実際に用意できたのは1,000万円に満たないとの結果が多く、この理想と現実の差が不安につながっていると考えられます。

(出典 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000182.000059395.html

持ち家に住む方の7割がこのまま住み続けたいと考えている

同民間の調査結果では、持ち家に住む方のうち、72.7%の方が、このまま現在の持ち家に住み続けたいとの希望を持っていることがわかります。

一方で、持ち家に住んでいる方のなかでも今とは違う場所で老後の生活を送りたいと思っている方は、27%ほどいらっしゃる計算になります。

この持ち家を手放すことを考えている方が老後の住まいとして考えているのが、実家・別荘・子どもの家などです。

また、移住をする方や高齢者施設へ引っ越しを考えている方も、一定数いらっしゃいます。

老後を持ち家で過ごすメリット

死ぬまでこの家に住みたいけれど、このままで良いのかしら…

具体的なメリットをご紹介するワン!

  • 毎月の家賃がかからない
  • 自由にリフォームできる
  • 住み心地が良い
  • ご近所付き合いがしやすい

メリット①毎月の家賃がかからない

賃貸物件に住む場合、毎月数万円の出費が、家賃として必要になります。

しかし、持ち家に住んでいるならば、こうした家賃の出費が不要になることがメリットです。

老後の生活を考えると、年金を受け取りながら、足りない分や預貯金を取り崩していくことが予想されます。

こうした年金生活のなかでは、毎月数万円の出費は家計を大きく圧迫しかねません。

持ち家であれば、家賃の出費を浮かせられるため、場合によっては年金のみで十分暮らしていけます。

メリット②自由にリフォームできる

老後の生活のなかでは、車椅子や電動ベッドを使用することが珍しくありません。

持ち家に暮らす場合、車椅子や電動ベッドでの生活がしやすくなるよう、自由にリフォームできることがメリットです。

室内で車椅子を使用するならば、玄関・部屋と廊下の敷居といった段差をなくすためのバリアフリー工事が欠かせません。

また、車椅子のまま料理・洗顔ができるよう、シンク下の収納スペースを撤去し、足を入れられるスペースを作る必要があります。

さらに、重量のある電動ベッドを置くならば、畳の部屋をフローリングにするなどの工事が必要になるかもしれません。

もちろん、快適な入浴のために手すりを取り付けるなど、家のなかにさまざまな工夫が必要です。

賃貸物件だと、入居者は借りている部屋に対して勝手に工事をおこなえません。

大家さんに許可を得たうえで工事をおこないますが、大規模なバリアフリー工事が認められる可能性は低いでしょう。

一方で、持ち家であれば、自分自由にリフォーム工事が可能です。

メリット③住み心地が良い

持ち家は、賃貸物件と比較して住み心地の良さがメリットです。

具体的な住み心地の良さとして挙げられるのは、騒音に悩まされにくいことです。

一戸建てであれば、アパートのように上の階・隣の住戸からの騒音に悩まされることがありません。

一方で、マンションはアパートより防音性にすぐれていて、一戸建て同様に上の階・隣の住戸からの生活音に悩まされることはないでしょう。

また、持ち家は、賃貸物件より充実した設備が整っていることが多く、これが住み心地の良さにつながります。

浴室の追いだきや暖房・キッチンの食洗器・床暖房など、自分好みにカスタマイズした持ち家に住んでいる方も多いでしょう。

マンションの場合には、宅配ボックス・防犯カメラ・オートロックなど、さらに住み心地が良くなる設備が整えられています。

メリット④ご近所付き合いがしやすい

持ち家に住んでいる場合、長く付き合えるご近所さんがいることがメリットです。

賃貸物件に住んでいる方は、同じ場所に長く住むとは限らず、親密なご近所付き合いができないことがあります。

しかし、近隣一帯が持ち家の住宅街や分譲マンションであれば、ご近所さんも持ち家に住んでいるため、みんなが長く住み続けることが特徴です。

持ち家だと長く安定したご近所との関係が築けることが、大きなメリットです。

賃貸物件は長いお付き合いができないだけでなく、短期間で出ていくからとの考えから、マナーを守らない入居者がいることがあります。

老後を持ち家で過ごすデメリット

老後に持ち家に住むと良いことしかないわよね?

実は、知っておきたいデメリットがあるワン!

  • 気軽に引っ越せない
  • 設備の修理を自分でしなければならない
  • 毎年の固定資産税がかかる
  • 定年後に住宅ローンが残る

デメリット①気軽に引っ越せない

持ち家に暮らしていると、気軽に引っ越せないことがデメリットです。

賃貸物件暮らしならば、契約更新のタイミングで退去を申し出れば、比較的気軽に引っ越せます。

しかし、持ち家に住んでいる方が引っ越しを考える場合、持ち家の売却が大きなハードルとなります。

もちろん、せっかく持ち家を所有しているからと考えると、引っ越しが必要であってもなかなか踏み切れないことは珍しくありません。

持ち家が駅から遠い場所や買い物しにくい場所にある場合、老後の生活が不便になることが予想されます。

賃貸物件であれば、老後は利便性の高い駅の近くに住むといった選択ができますが、持ち家であれば引っ越しにくいのが現実です。

とくに、資産価値の低い持ち家だと、売りたくても売れず、住み続けなくてはならなくなることがあります。

デメリット②設備の修理を自分でしなければならない

賃貸物件に住んでいると、備え付けの設備が故障した場合、入居者に落ち度がなければ大家さんの負担で修理または交換をしてもらえます。

しかし、持ち家では、こうした設備の故障時に、自分で修理しなければならないことがデメリットです。

長く住み続けた持ち家のなかには、劣化が進み毎年どこかが故障するといったことは珍しくありません。

エアコン・蛇口・ガス給湯器などは、前触れなく故障しやすい場所です。

また、台風や大雪などで屋根・外壁・雨樋などが故障した場合、自分で修理を依頼する必要があります。

賃貸物件と違い家賃がかからないのが持ち家のメリットではあるものの、設備の修理費用としてある程度の予算を考えておく必要があるでしょう。

デメリット③毎年の固定資産税がかかる

不動産を所有していると、毎年市町村から固定資産税の納付書が届きます。

固定資産税の税率は、基本的に1.4%で計算されますが、自治体によって異なる税率を採用していることがあります。

固定資産税は更地だと高額になりますが、住宅が建っていれば軽減措置が適用されることがポイントです。

評価額3,000万円の土地・評価額2,500万円の住宅を所有していると仮定した場合、42万円が固定資産税です。

毎年4期に分けて支払うとしても、一度に10万円ほどの出費となります。

ただし、老後の固定資産税を考える場合、築年数の古い住宅の評価額は低くなるのが一般的です。

デメリット④定年後に住宅ローンが残る

持ち家のなかでも、住宅ローンの返済が残っている場合には、注意が必要です。

持ち家にお住まいの方のなかには、定年後も住宅ローンを返済し続ける方がいらっしゃいます。

資金計画通りに住宅ローンの返済が進めば問題ありませんが、あてにしていた退職金がもらえなかった場合などは返済を滞納してしまうかもしれません。

一般的に、住宅ローンを組む際に返済期間としておすすめできるのは、定年までです。

現在30歳で65歳が定年の方であれば、35年ローンが組めます。

一方で、現在50歳の方は、65歳の定年まで15年間しか返済期間がありません。

毎月の返済可能額×15年間で購入できる不動産を選ぶか、今までに貯めた預貯金を頭金として多く支払えば問題ありませんが、不動産購入資金の多くを住宅ローンでまかなうと大きなリスクがあります。

住宅ローンの返済を3か月以上滞納してしまうと、金融機関が資金回収に乗り出し、最悪の場合競売にかけられマイホームを強制退去になるかもしれません。

まとめ

老後の生活を持ち家で送る場合、賃貸物件とは違い、毎月の家賃が不要で自由にリフォームできることがメリットです。

ただし、持ち家であっても、設備の修繕や固定資産税などに一定の出費がかかります。

持ち家で安定した老後の生活を送るには、年金と預貯金を把握し、早めに予算を考えることが大切です。

タイトルとURLをコピーしました