高齢者がマイホームを購入しようと考えても、安定した返済が困難になることから、住宅ローン審査にとおらないことがあります。
このような場合には、高齢者でも借りられるうえ、毎月の返済が利息のみの住宅ローンを検討するのがおすすめです。
そこで今回は、住宅金融支援機構のリ・バース60の特徴と申し込み事例を解説します。
住宅金融支援機構のリ・バース60とは
最近テレビコマーシャルで見たことがあるけど、詳しい内容は知らないかも
高齢の方にとって、マイホームを持つチャンスになるかもしれないワン!
住宅金融支援機構とは
住宅金融支援機構とは、住宅金融公庫の後を引き継いで2007年に誕生した、政府系金融機関です。
住宅金融支援機構以外に政府が出資する政府系金融機関として、国際協力銀行・本政策投資銀行・商工組合中央金庫・日本政策金融公庫などが挙げられます。
いずれも、都市銀行・地方銀行といった民間の金融機関が融資しにくい分野において、一定の役割を担っています。
住宅金融支援機構の具体的な役割は、民間金融機関による融資が困難な分野への直接融資・長期固定金利住宅ローンへの資金融通支援です。
このなかの長期固定金利住宅ローンは、フラット35の名前で広く知られています。
住宅金融支援機構は、直接顧客へ住宅ローンを貸し付けるのではなく、民間の金融機関とタッグを組んで融資をおこなうことに特徴があります。
住宅金融支援機構のフラット35を借りてマイホームを購入したい場合、住宅金融支援機構に申し込むのではなく、住宅金融支援機構と提携している金融機関に申し込むことになります。
Q URとは違うの?
A URは、都市再生機構のことで、旧公団住宅(現在のUR賃貸住宅)の管理をおこなっている国土交通省の関連団体です。どちらも公的な機関だけれど、役割に違いがあります。
住宅金融支援機構とは、公的な金融機関で、フラット35などを提供しているのね
銀行だけでは取り扱いにくい長期固定金利の住宅ローンを提供できるのは、住宅金融支援機構の存在があるからワン!
リ・バース60とは
住宅金融支援機構の業務は、フラット35の資金確保のための投資を募るローン債権の証券化支援・災害復興など一部の不動産に対する直接融資業務・情報提供や相談などです。
また、銀行など民間金融機関で借りた住宅ローンが返済できなくなった場合に保険金を支払う「リ・バース60」も、住宅金融支援機構の業務の1つとなります。
ただし、リ・バース60は、住宅ローンの返済ができなくなった場合だけしか使えない訳ではなく、これから住宅ローンを組む方も利用できます。
リ・バース60とは、フラット35同様に住宅金融支援機構と提携金融機関によって提供されている、60歳以上を対象とした住宅ローンです。
(出典 https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/info/yushihoken_revmo/index.html)
- 不動産新築
- 中古住宅購入
- 住宅のリフォーム
- 住宅ローンの借り換え
- サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金
- 借りたお金の元本を月割りで全額返す必要がない
- 毎月、利息分のみ返却する(フラット35で人気の全期間固定金利タイプが選べる)
- 利息以外の残金は、亡くなったときに不動産を売却して返済する
- 申し込み時点で、満60歳以上であることが基本的な条件
- 担保となる不動産の評価額の50~60%(50~60歳の方の場合は30%)
- 8,000万円以下で、目的のために必要な金額まで
- 死亡時に不動産を売るのは、リバースモーゲージと同じ
- リバースモーゲージとは違い、借りたお金は生活資金として使えない
- リバースモーゲージは自宅を担保に自由に使えるお金を借りるもの、リ・バース60はあくまでも住宅ローン
毎月の返済が、借りたお金の利息分だけなのは助かるわ
60歳以上でも組める住宅ローンであることが特徴ワン!
リ・バース60の申し込み事例
年齢とともに使いにくくなったマイホームをリフォームできるかしら
申し込み者のアンケートと、具体的な申し込み事例を見てみるワン!
- 住宅・設備の老朽化 64%
- 水回りの寒さ 27%
- 耐震性の不安 21%
- 家の広さ・狭さ 17%
- 光熱費を抑えたい 11%
- 太陽光発電を設置したい 11%
- 毎月の支払いが利息のみ 72%
- 住宅・販売事業者のおすすめ 51%
- 相続人に不動産を残す必要がない 38%
- 預貯金を残せる 34%
- ノンリコース型(相続人がローン返済しなくて良い) 14%
- 利用して良かったと思う 59%
- ややそう思う 28%
- どちらともいえない 13%
事例①自宅の老朽化に伴う建て替え
必要資金 2,800万円
借入額 1,400万円
自己資金 1,400万円
毎月の返済額(利息分) 2万5,000円
- 2023年度における一戸建て住宅の建設は527件
- 全国的に幅広いエリアで利用実績がある
- 60歳代が約6割・定年のタイミング前後での利用割合が多い
- 100㎡未満のコンパクトな住宅が59%
- 毎月の利息分の支払い平均額は、5万3,000円
事例②古い自宅のリフォーム
必要資金 850万円
借入額 850万円
自己資金 0円
毎月の返済額(利息分) 1万4,000円
- 2023年度における一戸建て住宅のリフォームは289件
- 全国的に幅広いエリアで利用実績がある
- 70歳代が半数以上・年金受給者の割合が多い
- 自己資金なしの割合は57%
- 毎月の利息分の支払い平均額は、1万4,000円
事例③2人暮らしのための新築マンションへの住み替え
必要資金 3,800万円
借入額 2,280万円
自己資金 1,520万円
毎月の返済額(利息分) 5万6,000円
- 2023年度における新築マンションへの住み替えは284件
- 都市部での利用が多い
- 60歳以上が半数以上・年金受給者の割合が多い
- シニア向け分譲マンション・子ども世帯の近くへの住み替えに利用される
- 毎月の利息分の支払い平均額は、5万4,000円
事例④住宅ローンの借り換え
必要資金 1,000万円
借入額 1,000万円
自己資金 0円
毎月の返済額(利息分) 3万円
- 2023年度における一戸建て住宅のリフォームは316件
- 都市部での利用が多い
- 60歳以上が半数以上・定年頃に利用する割合が多い
- リフォーム工事の融資と併用して住宅ローンの残りを借り換えることがある
- 毎月の利息分の支払い平均額は、2万9,000円
- 住宅にお金をかける余裕がない 19.5%
- 住み替えたいが、老後を考えて預貯金を残したい 8%
- 住み替えたいが、預貯金が少ない 5.5%
- 60歳以上で利用できる住宅ローンが見つからない 4.1%
- 子どもの住宅取得の支援をしたいが余裕がない 3.5%
- 現在の住宅ローン返済・賃貸物件の家賃負担が大きい 2.5%
- 住宅ローンを完済できず自宅を売却できない 1.5%
リ・バース60を利用するには?
興味があるけど、住宅金融支援機構に相談すれば良いのかしら
提携している街中の銀行などで受け付けているワン!
- 住宅金融支援機構と提携して、リ・バース60を取り扱う金融機関を探す
- 実際に申し込む前には、金融機関の担当者から注意事項の説明を受ける
- 説明内容に納得できたら、必要書類を揃えて金融機関へ申し込む
- 申し込み後に融資できるかどうかが審査されますので、結果連絡を待ちます
- 融資の実行 指定されたタイミングで口座に振り込まれます
リ・バース60の落とし穴は?
リ・バース60の全体的な満足度は、59%ほどとそれほど高くないのが気になるわ
メリットだけでなくデメリットもチェックだワン!
- 変動金利タイプを選択した場合、金利上昇とともに毎月の返済金額が増える
- 不動産価値が下がる可能性がある
- 一般的な住宅ローンと比較して、借入限度額が少ない
- 長生きするほど返済総額が増える
- 借りたお金を生活費に使えない
- 契約者が死亡したら相続人が自宅を売却するため、相続税の負担がかかる
まとめ
住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供するリ・バース60は、60歳以上でも借りられる住宅ローンです。
毎月の返済が利息分で済むことや、老後の住みやすさのためのリフォームにも使えることはメリットといえます。
ただし、一般的な住宅ローンより借入限度額が少ないことや、長生きするほど返済総額が増えることはデメリットです。
【参考】満60歳以上が対象の住宅金融支援機構のローン
【グリーンリフォームローン】<高齢者向け返済特例>
満60歳以上の方が一定の基準を満たす省エネリフォームを行う場合に、毎月のお支払を利息のみとする

リフォーム融資<高齢者向け返済特例>(部分的バリアフリー工事・ヒートショック対策工事・耐震改修工事)
満60歳以上の方が部分的バリアフリー工事、ヒートショック対策工事または耐震改修工事を含むリフォームを行う場合に、毎月のお支払を利息のみとする
リフォーム融資(住みかえ支援(耐震改修))高齢者向け返済特例
住宅借上制度の利用予定者が、借上対象となる住宅について、耐震改修工事を行うために必要な資金に対する融資です。住宅を借り上げる機関を介して第三者に賃貸する住宅をリフォームする場合に利用
耐震改修リフォーム融資<高齢者向け返済特例>の借換融資
耐震改修リフォーム融資[高齢者向け返済特例]の利用者が亡くなられた場合の借換融資
災害復興住宅融資<高齢者向け返済特例>
地震等の災害で住宅に被害が生じた旨の「り災証明書」を交付されている満60歳以上の方が利用できる住宅復旧のための建設資金または購入資金に対する融資です。月々のご返済は利息のみ
災害復興住宅融資(補修)<高齢者向け返済特例>
地震等の災害で住宅に被害が生じた旨の「り災証明書」を交付されている満60歳以上の方が利用できる住宅復旧のためのリフォーム資金に対する融資です。月々のご返済は利息のみ
災害復興住宅融資<高齢者向け返済特例・倉敷市補助型>
平成30年7月豪雨により倉敷市内で居住していた住宅に被害が生じ、倉敷市内でご自分が居住するための住宅の建設、購入又は補修を行う満60歳以上の方に対する融資
マンション共用部分リフォーム融資<高齢者向け返済特例>
マンション管理組合が共用部分のリフォーム工事を行うに当たり、一時金を負担する高齢の区分所有者の方(借入申込時満60歳以上の方)がご利用いただける融資
まちづくり融資<高齢者向け返済特例>
マンション建替え事業などにおいて供給される住宅を、満60歳以上の方が自ら居住するために購入する場合にご利用できる融資です。お亡くなりになるまでの間は利息のみのお支払いで毎月の返済額を軽減