クエン酸・重曹は、自然派のお掃除アイテムとして人気があります。
しかし、使い方がよくわからず、使いこなせずそのままになってしまうことは珍しくありません。
そこで今回は、クエン酸・重曹でできるキッチン掃除のコツをご紹介します。
キッチンで求められる洗剤とは
夏場はいやなにおいが気になるし、油汚れが落ちにくいのも困るのよね
クエン酸・重曹は、におい・油汚れにおすすめできるアイテムワン!
- クエン酸→除菌に使う
- 重曹→油汚れに使う
一般的に、キッチンで必要になる洗剤は、皿洗い用の中性洗剤・キッチン用漂白剤などです。
キッチン用漂白剤は、除菌やしつこい油汚れなどに高い効果がありますが、塩素のにおいと手についたときの対処が面倒に感じられるかもしれません。
こうした場合におすすめなのが、においがなく手についても漂白剤より荒れにくいクエン酸・重曹です。
しつこい汚れやにおいはキッチン用漂白剤を使用し、普段の洗い物や掃除にはクエン酸・重曹を使用してみてください。
クエン酸・重曹を使いこなせない理由
アルカリ性とか酸性とか、難しくて使いこなせなかったわ
みんなの使いこなせない理由を見てみるワン!
- どんな汚れに使えば良いかわからない
- 使用する順番がわからない
- 使ってみても効果を実感できなかった
- 市販の洗剤で十分
どんな汚れに使えば良いかわからない
クエン酸はアルカリ性の汚れに強く、重曹は酸性の汚れに強いといわれています。
そのため、汚れがアルカリ性か酸性か判断できないと、クエン酸・重曹を使いこなせません。
使用する順番がわからない
クエン酸・重曹での掃除術を紹介しているサイトなどでは、「クエン酸を振りかけてから重曹をプラスする」「重曹を振りかけてからクエン酸をプラスする」といった記述が多く見られます。
どちらを先に振りかけるかわからず、クエン酸・重曹を使いこなせないことがあります。
効果を実感できない
実際にクエン酸・重曹で掃除したものの、ほとんど効果を実感できないことがあります。
クエン酸・重曹の使い方・使う場所などが適切でない場合は、効果を実感できずそれ以上の使用をやめてしまうでしょう。
市販の洗剤で十分
皿洗いに使う市販の洗剤は、油汚れやにおいに高い効果があります。
そのため、わざわざクエン酸・重曹を使用しなくても、市販の洗剤で十分と感じるかもしれません。
クエン酸・重曹には、中性洗剤にはない効果・使い心地の良さがありますので、この機会に使い方をマスターするのがおすすめです。
キッチンでの使用をおすすめする理由
トイレとかお風呂にも使えるわよね?
もちろん使えるワン!
でも、いくつかの理由からキッチンでの利用が最適といえるワン!
- リビング・廊下に使いたい→ふきとり・すすぎが不十分だと、クエン酸・重曹が原因で汚れになる
- 浴室のカリカリを落としたい→浴室のカリカリには水アカと湯アカがあり、クエン酸・重曹の使い分けが難しい
水アカと湯アカの違い
水アカとは、水道水や井戸水などのカルシウム分の堆積物。
アルカリ性の汚れ(アルカリ性スケール)で、白くざらざらしているのが特徴。
酸性のクエン酸で落ちやすい。
湯垢とは、水のカルシウム分とともに、皮脂・石鹸カス・入浴剤などが混ざった複雑な汚れ。
酸性の汚れ(非アルカリ性スケール)で、ぬるぬるしているのが特徴。
クエン酸では落ちない。
クエン酸・重曹にまつわる勘違い
クエン酸と重曹は、混ぜて泡立てて使うんでしょ?
実は、混ぜてできる泡自体には、洗浄成分は含まれていないワン!
- クエン酸・重曹を混ぜて化学反応が起こると、化学の力で汚れが落ちる
- 2つを混ぜるとガスが発生し、汚れが落ちる
- 水アカはすべてアルカリ性なので、クエン酸で落ちる
クエン酸・重曹を混ぜてできる泡の正体
酸性のクエン酸とアルカリ性の重曹を混ぜると、中和反応により二酸化炭素が発生します。
この二酸化炭素はいわゆる炭酸ガスであり、発泡することが特徴です。
クエン酸・重曹を混ぜてできる泡は、炭酸飲料などにみられるのと同じものです。
洗剤を使い慣れている方であれば、泡=洗浄成分と思われるかもしれません。
しかし、洗剤の泡には界面活性剤が含まれていて、この界面活性剤の働きで空気を包み泡が発生します。
単なる炭酸ガスの泡とは違い、界面活性剤を含む洗剤の泡には汚れを落としやすくする作用があります。
キッチンの油汚れなどでは、界面活性剤の分子が油汚れを取り囲み、乳化・可溶化します。
(参考 花王 https://www.kao.com/jp/kaonokao/dna/1_1/)
クエン酸・重曹で汚れが落ちる原理は?
「中和状態が最も安定していて、溶解しにくい状態。
酸性・アルカリ性に大きく偏らせると、物質は電気的に不安定になり、水への溶解性を高める。
水に溶けやすい=汚れが落ちやすいのは、中和させたときではなく、クエン酸・重曹どちらか片方をかけたとき」
(出典 日本家政学会誌/72 巻 (2021) 4 号 「洗浄における酸・アルカリ中和説の問題点」)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/72/4/72_197/_article/-char/ja/
「クエン酸には、塩酸・酢酸同様に、カルシウム塩除去の効果がある。
クエン酸と水アカ(カルシウム汚れ)の反応において、新たな沈殿・落ちにくい汚れが生じる可能性がある。
クエン酸が水アカを溶かし切れず固形物が残った場合、そのまま長時間置くと新しく不溶性の塩が作られ、逆に落ちない汚れになる。
処理後のすすぎの重要性。
水アカには、アルカリスケールと非アルカリスケールがある。
アルカリスケールはクエン酸で落ちやすい」
(出典 日本家政学会誌/70 巻 (2019) 10 号 「クエン酸によるカルシウム系汚れの洗浄に関する消費者情報の実験的検証」)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/70/10/70_643/_article/-char/ja/
クエン酸を使いこなそう
クエン酸は水アカしか落とせないのかしら?
クエン酸は、キッチンで大活躍するアイテムワン!
- まな板の除菌
- ふきんの除菌
- 水切りかご・スポンジ置きの除菌
- 排水口のさび落とし
まな板の除菌
普段自炊をしていると、洗っていてもまな板が黒ずんだりぬるぬるしてしまったりすることがあります。
こうしたまな板の汚れにおすすめなのが、クエン酸の漬け置きです。
漬け置きといっても、面倒な準備は不要で、買ってきたままのクエン酸パウダーを濡らしたまな板に振りかけて、手のひらでのばすだけです。
毎日でなくても、週に2回ほど時間があるときに、クエン酸で集中ケアをしてみましょう。
まな板だけでなく、ぬめりが取れない菜ばしなども、クエン酸で汚れが落ちます。
- まな板全体を水で濡らす(大体の汚れは洗い流しておく)
- まな板の両面にクエン酸パウダーを振りかける
- 両面・側面・角などにクエン酸パウダーをのばす(クエン酸パウダーは完全に溶けなくて大丈夫)
- 皿洗いをする10分ほどの間、そのままの状態で漬け置く
- 水で洗い流し、その後に中性洗剤でよくあらう
ふきんの除菌
最近、テレビCMで、クエン酸をプラスした「すすぎ消臭剤」を目にすることがあります。
この商品は、クエン酸と界面活性剤が成分に含まれていることが特徴です。
クエン酸は、トイレのアンモニア汚れを中和できるなど、アルカリ性のにおいに高い消臭効果を持ちます。
キッチンで使うふきんには、雑菌とともに食べ物の汚れなどが付着しています。
油汚れを含む食べ物の汚れには重曹がおすすめですが、雑菌に対してはクエン酸がおすすめです。
油汚れ・雑菌の汚れどちらも気になる場合は、重曹で漬け置きしてから、クエン酸を振りかけると良いでしょう。
重曹の上からクエン酸を振りかけると炭酸ガスが発生します。
この炭酸ガスの泡自体に汚れを分解する能力はないものの、発泡の物理的な力で繊維の奥の汚れにアプローチする効果が期待できます。
- ふきんを十分に濡らす(絞らなくて大丈夫)
- シンクなどに広げ、重曹を振りかける
- 四つ折りにたたみ、重曹が溶けた水を全体にいき渡らせる
- そのまま数分漬け置く
- ふきんを広げ、洗い流さずにそのままクエン酸パウダーを振りかける
- ふきん全体で炭酸ガスの泡が発生するよう、軽くもみこむ
- 中和反応の泡がおさまったら、水で洗い流し、中性洗剤でよく洗う
水切りかご・スポンジ置き場の除菌
まな板・ふきんと同様に、黒ずみ・におい・ぬめりなどが気になるのが、水切りかご・スポンジ置き場です。
かごタイプの商品は、凹凸が多く、スポンジやブラシなどでは洗いにくいことがほとんどです。
こうした洗いにくい構造のかご類は、クエン酸を振りかけて漬け置きしたうえで、重曹と反応させて泡の物理的な力を利用すると良いでしょう。
- 水切りかご・スポンジ置き場に水をかける
- 上から全体にクエン酸パウダーを振りかける
- (クエン酸パウダーが付着しにくい場合は、水にクエン酸を大さじ1~2ほど入れて軽く溶かし、その溶液を振りかける)
- 5~10分ほど漬け置きし、上から重曹を振りかける
- クエン酸と重曹の中和反応で起きる発泡がおさまったら、水で洗い流し、中性洗剤で洗う
排水口のさび落とし
ステンレスのシンクの排水口付近・排水口のふたなどに、茶色いさびがついてしまうことがあります。
こうしたさびは、まな板・ふきん・水切りかごなどをクエン酸で洗っていると、だんだんと落ちてきます。
とくに排水口にクエン酸をまく必要はなく、日常的にクエン酸でキッチン掃除をしていれば、効果を感じるでしょう。
ただし、クエン酸が排水口付近に溜まり長期間そのままになっていると、反対にさびの原因になることは注意点です。
重曹を使いこなそう
重曹ってベーキングソーダよね?掃除に使えるの?
重曹は、料理後に困る汚れに効果があるワン!
- フライパン・魚焼き網の焦げ
- 鍋などの持ち手の皮脂汚れ
フライパン・魚焼き網の焦げ
フライパンで肉を焼く・フライパンで卵焼きや目玉焼きをつくる・魚焼き網で魚を焼くなど、肉や魚などのたんぱく質の汚れは、重曹でいつもより簡単に落とせます。
クエン酸での掃除同様に面倒な準備は不要で、水を入れて重曹パウダーを溶かして漬け置くだけの簡単な作業です。
- キッチンペーパーで軽く汚れを落とす
- フライパンに汚れが浸かるくらいの水を入れ、重曹パウダーを大さじ1~2ほど入れる
- 魚焼き網は、受け皿に水を張り重曹を入れる
- 網部分は濡らして重曹を振りかけるか、濡らしたキッチンペーパーに重曹を振りかけてパックする
- 水に入れた重曹をへらなどである程度溶かす(完全に溶けなくて大丈夫)
- 皿洗いをする間の10分程度、漬け置きする
- フライパンの表面が傷つかないよう、こすらずに洗い流す
- 肉・魚・油汚れが落ちたら、中性洗剤で洗う
鍋などの持ち手の皮脂汚れ
重曹は、鍋などの持ち手の皮脂汚れもスッキリ落としてくれます。
皿洗いの最初に重曹を塗布し、皿洗いの最後に洗い流すのがおすすめです。
- 木製品に重曹を使用すると、すぐに黒ずみなどの変色になることは注意点です。
- 塗装していないまな板・菜ばし・木べらへの重曹の利用は避け、塗装してある木製の黒い持ち手などは、塗装の劣化に注意してください。
- 鍋などの持ち手を濡らす(木製ではないしゃもじ・包丁・お玉なども使用可能)
- 濡らした自分の手に重曹を取り、鍋などの持ち手にまんべんなくのばす
- 皿洗い時間の10分程度、漬け置きする
- 凹凸部分の汚れを浮かせるため、クエン酸を振りかけて発泡させる
- 水で洗い流し、中性洗剤でよく洗う
まとめ
クエン酸・重曹は、難しいことを考えずに、キッチンの除菌・フライパン汚れに使うのがおすすめです。
重曹は木製品を黒く変色させてしまいますので、使用を避けることが注意点です。
また、どちらも白色の粉で似ているため、容器に入れ替える場合には、ふたと本体それぞれに印をつけると良いでしょう。